近年、日本でもようやく知名度が上がってきた「保護犬」。でも、まだ保護犬に対しての偏見や誤解があるかもしれません。そんな思いを払拭すべく、実際に保護犬を迎えた飼い主さんから生の声を聞いてみました。

保護犬が減らない背景

保護犬だったローレン。ローレン家は先代もミニチュア・ダックス。でも性格は全然違うローレンを迎えることにより、ペットロスを克服

「犬が飼いたい」と思ったら、どこで探す? 


多くの日本人は、やっぱりペットショップに行くことが多いのではないかと思う。今までの慣習ではたしかにそうだった。あるいはもう少し詳しい人で、お目当ての純血種が決まっているのであれば、その犬種を研究している熱心なブリーダーのところから譲ってもらうということを選ぶ人もいるだろう。


でも、もうひとつ、最有力候補にしてほしい選択肢がある。動物福祉団体などから保護犬を譲渡してもらうという出会い方だ。


そもそも保護犬とはご想像のとおり、一度は誰かに捨てられた犬であることが多い。あるいは、雷や花火に驚いたかなにかで、失踪し、迷子になり、飼い主さんが現れないままセンターに収容されて日数が経ってしまった犬もいる。野犬のお母さん犬から生まれた、今まで一度も人間の手で育てられたことのない「親子三代の生粋の野犬です」という和製ディンゴのような犬もいる。

レスキューされた犬は、犬種も容姿も年齢も実にバラエティーに富んでいてさまざまだ。


遺棄(または保護)された段階ですでに妊婦犬で、動物愛護センターや動物福祉団体、またはそのフォスター(一時預かりボランティア)のところで出産することもあるので、乳飲み子もするし、上は10歳を超えた老犬もいる。純血種も、雑種(地方に行くほど、日本犬ミックスが多い)もいる。


そして、遺棄された理由もさまざまである。「引っ越しのため」「離婚のため」「こどもがアレルギーになったため」「こんなに大きくなると思わなかった」「しつけしても覚えない」「いつの間にか、庭につないでいたメス犬が妊娠していた」「高齢者が飼っていたが、入院(または老人ホーム)に入ることになった。


親族は引き取りたくない」……まったく人間とは身勝手な生き物である。よく考えないで、子犬可愛さに手をだしたものの、飼いきれなくなったり、必要じゃなくなったら、ポイと捨てる。私のような犬馬鹿には想像もつかない、許しがたい浅はかな理由ももっとほかにあるかもしれない。

終生飼養する覚悟や知識、時間、経済力、体力もないままに、犬を買ってしまうことが問題のひとつであるし、またそういう人に十分な説明義務を果たさないで販売してしまうショップも問題だし、さらにいえば需要以上に供給するパピーミル(子犬工場と呼ばれる商業目的の子犬繁殖場)の問題も大きい。


繁殖管理できないのに、避妊去勢手術をしない一般飼い主にも問題がある。とにかく蛇口を絞めないと、いつまでも過剰に命が産まれてしまう。だから「殺処分」されるはめになるのだが、冷静に見ると「殺処分」とはなんて残酷な言葉なのか。「殺して処分する」と書く。あんまりだ。


日本がまだまだ動物福祉の先進国とはいえないレベルなのは残念である。ただ、やむにやまれぬ事情というケースもなきにしもあらず、ではないかと。


たとえば……震災で家がなくなってしまい、仮設住宅には犬を連れていけない、とか、交通事故で飼い主一家が亡くなった、とか、想像するのもつらいような事例はあるので、そういう本当に特別な事情の犬たちを加護する最後の砦のような施設は必要ではないかとも思うのだ。


近年、「殺処分ゼロ」をスローガンに、1頭でも多くの命を救うべく、努力している団体やボランティアの方が増えている。「殺処分ゼロ」の内容について賛否両論があったりするし、団体同士の軋轢があったり、自治体の活動とうまく連携しているところもあれば、ぎくしゃくしているところもある。


ボランティアの方々の手弁当の活動に甘えすぎてるのではないか、このままではキャパシティーがオーバーしてしまうのではないかなど、保護団体側の苦悩や負担は大きいという実態もあり心配。本当に日々頑張っている方々の努力には頭が下がる思いでいっぱいです。

保護犬を迎えるという選択肢もあり!

「雷に打たれた」という感じがした桃太郎との出会い。幸せで穏やかな毎日を過ごしている

それでは、どうすればいいのだろう。蛇口を絞めるための法整備も必要だし、やっぱりいまの状況はやっぱりへんだね、このままじゃまずいよね、と世論が価値観を変革していくことも重要だと思う。


そして価値観の変革といえば、今までの「ペットショップで子犬を買う」という慣習をちょっとシフトし、「保護犬を迎える」という選択肢をプラスしてみることも大いに意義がある。


でも、まだ「子犬から飼わないと懐かないんじゃないの?」とか「実際、大丈夫なのかな」などと、二の足を踏んでいる人もいるかも。でも、保護犬も「犬は犬」。


ペットショップで買う犬でも、ブリーダーから迎える犬でも、団体などから譲渡してもらう犬でも、犬は犬なんだから、特別なことはなにもない。また犬からしてみても、自分が保護犬というレッテルを貼られているなんて思っていない。


「保護犬は可哀想」などと特別視しないでほしい。別に可哀想じゃないと思う。犬はただ真っ直ぐに、自分の人生(犬生)を今日も生きているだけだ。


それでは、実際に保護犬を迎えた飼い主さんに、保護犬を迎えてよかったこと、大変だったことを率直に語ってもらった。ぜひ参考にしてみてほしい。

桃太郎家「運命ってある。一緒に幸せになろう」

先代のフレンチブルの名前は「あお」。次の子は「もも」ってつけようと思ってたら、仮の名前が桃太郎だった。もうなにもかも運命的

●Y.Nさん(東京都江戸川区在住)
●愛犬犬種:雑種
●愛犬の性別:オス(去勢済) 
●愛犬の現在の年齢:推定3歳
●愛犬を迎えたときの年齢:推定1歳
●愛犬を譲渡してくれた団体:ちばわん         
●今まで犬を飼った経験は?: ある(フレンチ・ブルドッグ)

保護犬を迎えようと思ったきっかけは?

13年家族として大切に暮らしていた愛犬(フレンチ・ブルドッグ)を亡くし、辛い毎日を送っていました。前向きになれなかったのですが、もしまた家族として犬を迎えるなら保護犬も選択肢に入れようと思ってました。


でも正直、保護犬のことは興味がある程度で、まったく知らない世界でしたが、Facebookで偶然見つけたボランティア団体のちばわんさんの記事の中から、桃太郎を見つけることができました。


Facebookで偶然ちばわんさんを知る→すみずみまで保護犬について読み込む→桃太郎発見。雷に打たれる(ようにビビビッとなる)→旦那に連絡→里親(いぬ親)アンケートに書き込む(ここまでたぶん数時間しか経っていないスピードで行動)。


迷いはゼロで、運命ってあると思った出会いでした。


そのあと実際の里親会に行って、大きさも容姿も何もかも(先代のフレンチ・ブルドッグのあおちゃんと)違うのに、「この子と一緒に幸せになろう」って思った。マジであお(先代犬)が天国から「この子が弟だよー。よろしくね」って教えてくれたみたいでした。

保護犬を迎えて、よかったこと・嬉しかったこと

かり親さん、ボランティアの方たち、また同じように保護犬を家族に迎えた「犬繋がりのまるで親戚」のようなご縁がたくさん広がりました。
いろいろなことを相談したり、助け合ったりできる心強い仲間がたくさんできました。

四季折々の旅行もいつも桃太郎と楽しむ。アイコンタクトばっちり。成犬になってから迎えても、懐かないなんてことはない!

保護犬を迎えて、大変だったこと・苦労したこと

わが家の場合、苦労はまったくありませんでした。


推定1歳でわが家にやって来ましたが、すぐに家族の一員となり、家族を支え、癒しと笑顔と笑いをもたらしてくれています。
家族として暮らすルールもすぐに覚えてくれました。


保護犬だからと特別なことはなく、逆にとても賢くて優しい子なのでびっくりするぐらいです。成犬だから懐かないなんてことはまったくなかったです。


しかし保護犬は苦境を乗り越え、頑張って命を繋いで来た子たちなので、新しい生活をスタートするまでに時間がかかる子もいます。焦らず長い目でみてほしいです。

保護犬の譲渡を考えている人へのアドバイス

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

関連する記事

「愛犬がドッグフードを食べない」考えられる理由と対処法

愛犬がドッグフードを食べなくなってしまった時、それはいったいなぜなのでしょうか。考えられる理由と対処法を知っ…

ハッピーファミリー / 195 view

フィラリア予防の季節がはじまりました

蚊が媒介するフィラリア症(犬糸状虫症)。ほとんどの飼い主さんはちゃんと知っていて、毎年、予防薬を飲ませている…

白石花絵 / 1003 view

熱海でジャカランダお花見を楽しむ

お花見といえば桜。でも「南半球の桜」「青い桜」ともいわれる、ジャカランダという花木があります。日本で地植えの…

白石花絵 / 251 view

関連するキーワード

白石花絵

雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパンの広報室。ツキノワグマなど野生動物も好き。犬猫と暮らして30数年。家族(群れ)の悦び、信頼の笑顔、死別・闘病のいたみなど、生き物として大事なことはほとんど犬猫から教わった。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせるような、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

アクセスランキング

人気のある記事ランキング

夏特集