そうだ、犬連れで箱根に行こう♪

| 白石かえ
出典: (C)白石花絵

ひと昔前は、犬、ましてや大型犬が泊まれる宿などほとんどありませんでしたが、いまは犬同伴OKの宿が増えています。旅は犬にとっても社会化の勉強となるよいチャンス。一緒に楽しい思い出をつくりましょう!

犬と一緒に旅行に行くのは、本当にワクワクします。そして普段、お留守番ばかりさせられている犬にとっても最高にハッピーな時間。さらに初めて行く新しい環境下で、脳にいっぱい刺激が加わり、社会化や汎化(はんか)という環境適応能力を高める練習にもなるのです。でも観光地やホテルでは、ちゃんとマナーを守り、他人様に迷惑をかけない配慮も大事。それでは、今回クーパーとメルと行った箱根旅行のレポートをお伝えします!

犬連れOKの宿が増えて嬉しい

昔は、犬を旅行に同行させる人は少数派だった。キャンプや車中泊ならいざしらず、そもそも犬と一緒に泊まらせてくれる宿がない。

だから旅行中は、自宅近くのペットホテルや動物病院に預けたり、屋外飼育が多かったから近所の人にごはんと散歩をお願いして出発する人が多かったように思う。あるいは、家族の誰かが旅行を諦めて、犬と留守番するかだった。

神奈川県立恩賜箱根公園。「旧箱根離宮」跡地にある美しい庭園公園。手入れの行きとどいた庭木もみごと

「ペットブーム」と言われるのは個人的には好きではないが(ブームや流行で安易に犬を飼わないでほしいから)、とにかく犬と暮らす世帯が増え、また家族同様に感じている飼い主が増えたから、留守番させたくない、寂しい思いをさせたくない、愛犬と一緒に楽しい経験を積みたい、一緒に自然を謳歌したい、などと願う人の需要が多くなったはず。だから犬OK宿が増加してきたのではないかと思う。

私は、犬を同伴できる宿が増えたことをとっても嬉しく思う。犬の社会進出が進んだというか(笑)、犬の市民権が与えられた証しかと思うと、日本にもアニマル・ウェルウェアが少しずつ浸透してきたなぁと嬉しくなるのだ。

ただ、まだ小型犬のみOKというところも少なくない。まあ、大型犬だと畳を爪でひっかけて傷めてしまうから、私も恐れ多くて日本旅館に泊まりたいなんて高望みはしない。

それにフローリングの床であっても、爪で傷つけてしまう心配がある。犬は猫と違って、爪を隠して歩いてくれないからね。

だから、やはりうちの場合は、傷つきにくい建材、犬もツルツル滑らず骨関節に負担が少ない床材、万が一の粗相やヨダレを拭き取りやすいなどの犬仕様にしている、犬専用に特化した宿を選ぶことが多い。汚したらどうしよう、傷つけたらどうしよう、とビビらないですむ(気を遣いすぎるのも疲れちゃって、旅行の悦びが半減するからね)。 

しかし数年前に取材でこっそり聞いたのだが、ある観光地では、ペットOKにしているペンションはすぐ満室になるが、ペット不可だと閑古鳥が鳴く状態なので、経営者側もやむなくペットOKに転身しているところもあるそうだ。

ただ、やっぱり「やむなく」ペットOKにしているところより、オーナーやスタッフも犬を飼っていて、本当に動物が好きな人たちが営む宿の方が居心地がいい。犬が好きかどうか、本当は苦手なのに無理しているか、実は飼い主だって、犬だって、しっかり感じ取るものなのだ。

だから犬専門にしている宿では、床材などの吟味や、犬用のアメニティー(消臭剤やトイレシートなど)も充実していることが多い。犬の行動パターンをある程度わかっているし、旅先に来た飼い主の気持ちも想像してくれるからだろう。よし、そんな宿を探そう! 

命短し、旅せよワンコ!

とはいうものの、うちは強面の大型犬と中型犬(22kgのメルは中型犬だと思うのだが、日本基準ではたいてい大型犬ランクにされてしまう)。ホテルに泊まるのは気を遣うので、もっぱらキャンプ旅ばかり。宿探しが、最大の関所に思えてくる。

そこで! 江戸の人が昔から愛する保養地・箱根に白羽の矢を立てた。今まで人の多い観光地はついつい避けていたので、犬連れで箱根に行ったことがない。大丈夫かな、とドキドキしつつ、宿を検索。せっかく箱根に行くなら温泉宿がいいーーっ(私は温泉が大好きだ)。しかし大型犬2頭を泊めてくれて、かつ、温泉宿なんてあるのだろうか。

カーロ・フォレスタ元箱根ルチア。エントランスすぐ前に小さなドッグランがあるし、駐車場脇には大型犬も満足できる広い林間ドッグランがある

と、思ったら、見つけました。カーロ・フォレスタ元箱根ルチア。この系列ホテルは山中湖や那須高原などにも犬に特化したホテルを複数経営していて、うちもかつて伊豆高原でお世話になったことがある。

ここならば、いかついクーパーとメルでも歓迎してくれるに違いない! しかもお湯は硫黄泉! 温泉好きにはたまりませんな。 

というわけで、ついに犬OK温泉宿を確保しました。よし、今回はいつもの泥んこ系ではなく、セレブ系(笑)で優雅に観光を楽しむ旅にしようではないか。クーパーとメル、頼むぞ、粗相のないようにな!

恩賜箱根公園で芦ノ湖を望む

いつもはお山に向かって、中央道を走ることが多い白石家だけど、今回はびゅーんと東名高速道路で、一路元箱根を目指しました。が、あれれ、けっこう近いんですね、箱根って。

東名と小田原厚木道路を使うと、1時間半ほどで着きました。やはり箱根が愛される理由のひとつは、この距離の近さもあるのでは。ちなみに小田急ロマンスカーでも新宿駅〜箱根湯本駅で1時間半前後らしい(小型犬のおうちなら電車でも行けるね。羨ましい)。

1時間半で、東京から別世界。豊かな濃い緑の森、静かな湖。今回は富士山は霞んで見えなかったけれど、日常生活とはスッパリ切り離されて、気分転換ができる。やっぱり旅はいいわぁ。

恩賜箱根公園の駐車場でさっそく出会った旅の犬たち。秋田犬のはなちゃんは静岡からの来訪。ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(通称ウエスティー)とご挨拶できるなんて、穏やかないい秋田だね〜

きっと犬にも飼い主のこの高揚感は伝わるはずだ。では、宿にチェックインする前に、犬も自然を満喫させてあげよう。

そこで、大きな駐車場があり、いかにも「観光地」っぽい恩賜箱根公園に行くことに(今まで、こういう観光地は避けてきたのだが、ここは取材と思って、頑張ってみようっ)。

すると、けっこう犬連れの人がたくさん歩いている。ああ、ここは犬も入っていい公園なんだと、まず安心。静岡からやってきたという秋田のはなちゃんもいた。大型犬でも大丈夫だ。

恩賜箱根公園の入り口にある犬の飼い主向け看板。裏を返せばこのルールを守れば、犬も公園に入ってよいということ。嬉しい。将来にわたり、犬もずっと入園できるようにマナーを守ろうね

苔むした遊歩道がきれい。犬もワクワクしちゃってガンガン引っ張る(苦笑)。クーパー&メルにとって人生初(犬生初)の箱根。どんないい匂いがしているのだろう。

苔むした美しい散策路。ヒンヤリとした森の中なので、夏でも熱中症の心配が少ないと思う

きっと犬は、人間とは違う情報をいろいろ鼻からキャッチしているに違いない。新しい環境はいい意味で緊張もする。そんな知らない初めて場所でも平常心を保ち、順応する練習をすることはとても大切。それが社会化トレーニングとなる。

散策路からはみ出して、葦原のにおいを夢中で嗅ぐクーパー。箱根のにおいはどうですか。なにか野生動物のにおいでもするのかな。都会では味わえない刺激的な自然のにおい。最高によい脳の刺激になるね

でも無理強いは逆効果なので、そこは愛犬の様子を見ながら進めていこうね。犬が大丈夫そうなら、ほかの犬や人に挨拶をさせてみてもいい。でも犬が緊張しているなら、なにもよその犬と仲良く挨拶できなくたってかまわない。平常心で通り過ごすことができればそれで十分だ。

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白石かえ

犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパンの広報室。ツキノワグマなど野生動物も好き。犬猫と暮らして30数年。家族(群れ)の悦び、信頼の笑顔、死別・闘病のいたみなど、生き物として大事なことはほとんど犬猫から教わった。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせるような、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

白石かえ

犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパンの広報室。ツキノワグマなど野生動物も好き。犬猫と暮らして30数年。家族(群れ)の悦び、信頼の笑顔、死別・闘病のいたみなど、生き物として大事なことはほとんど犬猫から教わった。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせるような、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

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