日本上陸! ノーズワークは犬が喜ぶトレーニング

| 白石かえ
出典: ©白石かえ

昨年くらいから日本でも注目され始めた「ノーズワーク」。トレーニング兼、遊び、兼ドッグ・スポーツにもなる、愛犬の犬生(人生)がハッピーになるゲームを紹介します。

ノーズワーク。そのまま訳すと「鼻仕事」とか「鼻活動」。つまり、犬の最も大事な五感である「嗅覚」を使わせて、満足感を与えるトレーニングだ。犬にとって刺激的でワクワクする「臭活」(シュウカツ!)だ。

発祥はアメリカ。始まってからまだ10年くらいなのに、このトレーニングの有効さ、楽しさ、そして何よりも犬が悦ぶから、瞬く間にアメリカ国内で大人気に。そしてスウェーデン、日本など、世界へこのゲームが拡がっている。

いったい何がそんなにいいのか。楽しいのか。

6月24日、山梨県精進湖近くで開かれた「ノーズワーク体験会」に、クーパーとメルとオットと参加してきた。その報告をしよう。

ビーグルといえば、とにかくクンクンするのが大好き! 本能をこじらせると、無駄吠えする子も多いから、十分鼻を使う時間を与えよう

すべての犬は、クンクンするのが好き

今回のノーズワーク体験会の先生は、スニッファードッグカンパニー(兵庫県西宮市)の代表・細野直美さん。彼女こそ日本のノーズワークの立役者だ。

スニッファードッグカンパニーの細野直美さん。日本にノーズワークを紹介したパイオニア。セント・ハウンドの代表格のビーグルをこよなく愛する、ビーグル・ファンシャーでもある

もともと救助犬育成のトレーナーとして活躍していた細野さん。彼女の愛犬は、ビーグル。ビーグルといえばご存知、セント・ハウンドだ。 

ちなみに「猟犬」とひとくちに言っても、得意技や猟法が違う。たとえばビーグルは、獲物の足跡や血痕のにおいを何時間でもしぶとく匂って追跡するセント(嗅覚)・ハウンド。

細野さんの愛犬。ビーグルのネオタン、14歳、メス ©細野直美

ほっそりスリムで、獲物を目で見つけたら爆発的な速さで駆けて捕らえるサルーキは、サイト(視覚)・ハウンド。

サルーキは、サイト(視覚)・ハウンド。目で獲物を真っ先に確認する

セッターやポインター、レトリーバーなどは、ガン・ドッグ。ハンターのライフル(ガン)を使う猟の相棒として改良された犬だ。カモを見つけたらポイントしたり、ハンターの合図で飛び立たせり、バーンと撃たれて湖沼に落ちた獲物を泳いでリトリーブ(回収)したりする。

ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパーはガン・ドッグ。何か獣が歩いたニオイがないかと、野山でクンクンしている。これぞリアルなノーズワーク

もちろんどの犬種だって嗅覚は非常に優れており、一般的に人間の100万倍〜1億倍とも言われている。その中でもビーグルを代表とするセント・ハウンドは、嗅覚専門のクンクン好き。ちなみに細野さんの団体名のSNIFFER DOG(スニッファードッグ)は、訳すと「クンクンにおいを嗅ぐ犬」。転じてさまざまな「捜索犬」「探知犬」としても俗語で使われる。

その細野さんは救助犬育成トレーナーなのだが、アメリカで2006年にこのノーズワーク・トレーニングに出会い、雷に撃たれたような衝撃(いい意味でね)を受けて、なんとしても日本にも紹介したい!と思ったそうだ。

それから何度もカリフォルニアに通い、その熱意を認めてもらって、今では毎年アメリカからノーズワーク創始者メンバーの先生らを日本に招聘し、セミナーを開いたり、自分も講師をしたりして、この新しいトレーニングの普及のために日本全国を飛び回っている。

自立心、集中力、自信、意欲を育てる!

彼女がこのトレーニング法を初めて知った2006年当時は、まだアメリカでも「ノーズワーク」という名前もついていなくて、単なる「犬がニオイを探す遊び」という感じだったそうだ。そもそもこの「遊び」は、シェルター(保護施設)でレスキューされた保護犬たちの心を開かせ、自信をつけさせるために始まった。

何がすごいって、ノーズワークによって、以下の4つを養うことができるってことだ。

●自立心
●集中力
●自信
●意欲がわく

その結果「犬の人生すべてに自信をつけさせていくことができる」。それはすごい。そんなことができたら、夢のよう!

さあ、いよいよクーパーの番だ! 初心者なので、最初は箱の数が少ない。とにかく無理をさせない、失敗をさせないことがポイント。そうしたルールがいくつかある

そして細野さんは、この4つを育てることによって「怖いことを克服できるのがノーズワークの良さ」だとも言う。

クーパーにばれないように、サササッと先生が、箱におやつを入れる

今までは、怖いことを克服するためには「汎化」(慣らすこと。何度も繰り返し、その怖いものに慣らしていく)トレーニングが常套手段だったが、細野さん曰く「100頭いれば、100通りの怖いものがある」から、汎化だけでは時間がかかったり、何に対して過敏に反応するのかわからなかったりして、なかなか克服することができないことがある。

新しい環境、知らない先生、周りにはギャラリーがいる。それだけで怖いクーパーは、しっぽを下げて、ビビりながらニオイを探している

シャイで神経過敏な犬と暮らす飼い主さんならおわかりでしょう。うちもそうです。お恥ずかしながらクーパーは自宅のある都会ではしっぽが下がり(野山ではしっぽピーンと上がっている。都会の騒音が怖いのか?)、とにかくなぜか自分に自信がないんです。だからその苦労やもどかしさ、すごくよくわかる。治せるものなら治してあげたい、というのが親心。

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白石かえ

犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパンの広報室。ツキノワグマなど野生動物も好き。犬猫と暮らして30数年。家族(群れ)の悦び、信頼の笑顔、死別・闘病のいたみなど、生き物として大事なことはほとんど犬猫から教わった。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせるような、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

白石かえ

犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパンの広報室。ツキノワグマなど野生動物も好き。犬猫と暮らして30数年。家族(群れ)の悦び、信頼の笑顔、死別・闘病のいたみなど、生き物として大事なことはほとんど犬猫から教わった。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせるような、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

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