同行避難?同伴避難?その違いとは

| 白石かえ
出典: ©白石かえ

9月1日の防災の日にはじまり、9月全体は防災月間ともいわれます。また9月は、台風の多い時期でもあります。異常気象が増えた昨今、いつ自分が被災者になるかわかりません。そのとき、自分の愛犬・愛猫もちゃんと守れるように、モノの準備だけでなく、心の準備をしっかりしておくことが欠かせません。

こんなにいろいろある自然災害

今年の9月も、台風18号はじめ、日本列島には自然の猛威がふるっている。日本は本当に自然災害が多い国だ。それにしても自然災害って、何があるんだっけ?と、ふと考えた。そこで復習がてら、ザックリと自然災害の種類を調べてみた。


●気象災害●

<雨>
台風、大雨、河川洪水・氾濫、土砂崩れ(斜面崩壊)、土石流(山腹、川底の石や土砂が長雨や集中豪雨などによって一気に下流へと押し流されるものをいう。 その流れの速さは規模によって異なるが、時速20~40kmという速度で一瞬のうちに人家や畑などを壊滅させてしまう)

<雪>
豪雪、雪崩、雹

<風>
台風、強風、竜巻、高潮、波浪

<雷>
落雷(森林火災)

<気候>
干ばつ、冷夏

2017年9月2日・3日(日)、代々木公園で開かれた『渋谷区総合防災訓練 SHIBUYA BOSAI FES 2017』にて。さまざまな災害をシミュレーションできるコーナーがあった。これは、急な豪雨により出入口に水が流れ込んだ際、わずかな水位でもドアを開けることができず、避難ができなくなることを体験する「水圧体験装置」 。左側に水がたくさん入っている。大人の男性でもドアを開くのが大変で、もっと深くなると開けることができなくなる。水って、こわい

●地震・火山災害●

<地震>
地盤震動、斜面崩壊、岩屑なだれ、津波、液状化、地震火災

<噴火>
降灰、火山ガス、溶岩流、火砕流(噴火によって火口から噴出した高温の火山噴出物が,高速で火山体斜面を流下する現象)、泥流、山体崩壊、岩屑なだれ、津波、地震

以上。誘因(1次的自然現象) と、それによって引き起こされる2次的災害現象の主要なものを示してみた。こんなにもいろいろな種類の災害があるのかと、改めて驚く。

ご存知のとおり、日本列島は沈み込みプレート境界にあるので,爆発的な噴火を行う火山が数多く分布している。だから噴火の災害も起きやすいし、地震も多いし、津波も発生しやすい。だから日本各地で温泉の恵みも多く受けられるといえるのだが……世界には約1500の活火山があるといわれるが、そのうちの約1割にあたる110の活火山が日本にあるという。こんなに地球は広いのに、細長い島国ニッポンにそんなに多くの火山がひしめき合っているなんて……。やはり、いつ地震や噴火が起きてもおかしくはない。他人事ではないと痛感する。

地震体験車も大人気。でも実際にこれだけ揺れる大地震がきたら、冷静でいられるだろうか

9月は台風が猛威をふるう時期

また、四方を海に囲まれており、亜熱帯海域にも近い。台風のエネルギーの源は、熱帯・亜熱帯域の海水に貯えられた大量の太陽熱だ。ちなみに世界の台風にはエリアによって、呼び方が3つある(気象庁HPより)。

●台風:東経180度より西の北西太平洋および南シナ海に存在する熱帯低気圧のうち、最大風速が約17m/s以上になったもの。

●ハリケーン:北大西洋、カリブ海、メキシコ湾および西経180度より東の北東太平洋に存在する熱帯低気圧のうち、最大風速が約33m/s以上になったもの。

●サイクロン:ベンガル湾やアラビア海などの北インド洋に存在する熱帯低気圧のうち、最大風速が約17m/s以上になったもの。

最大風速の基準には違いはあるが、基本的に、台風、ハリケーン、サイクロンは、それぞれの地域に存在する熱帯低気圧を指す呼び方といえる。日本にやってくるのは、太平洋か南シナ海で発生したものだから、台風と呼ばれるわけだ。

そして天気予報でよく聞く、台風の大きさと強さ。「強さ」は最大風速で区分し、「大きさ」は強風域(風速15m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲)の半径で階級が分けられている。

「強さ」は3階級。「強い」風速33m/s(64ノット)以上~44m/s(85ノット)未満<「非常に強い」44m/s(85ノット)以上~54m/s(105ノット)未満<「猛烈な」54m/s(105ノット)以上。この3種類だ。

「大きさ」は2階級。「大型(大きい)」風速15m/s以上の半径が500km以上~800km未満<「超大型(非常に大きい)」風速15m/s以上の半径が800km以上。この2種類である。

自衛隊の炊き出し体験コーナー。カレーライスがふるまわれ、住民はニコニコ顔で食べていた。でもこれも本当の震災現場だったら、もっとストレスフルな環境に違いない

とにかく書きだしてみると、日本は本当に災害大国であるし、これだけいろいろあるから、言葉もいろいろあって混乱してしまう。または、ちゃんと理解していなかったりする。それは、台風用語だけではない。「同行避難」と「同伴避難」。この似て非なる言葉。お恥ずかしながら、私も混同していた。きちんと理解しておかねば。

「同行避難」と「同伴避難」。似て非なる言葉

飼い主としては「同行避難」と「同伴避難」の違いをしっかり把握しておいた方がいいと思う。またSNS等でも混同してシェアされていることが多く、結果間違った情報が拡散されていることも見られる。そのため、ここできちんと違いを紹介したい(ほかのところでも書いたのだが、説明文としては、これ以上でもこれ以下でもないのでそのまま紹介する)。

▼同行避難
発災時、犬猫も飼い主と一緒に避難すること。自宅に犬猫を置いてきぼりにしたり、放して逃がしたりしてはいけない。

▼同伴避難
発災時、犬猫も一緒に避難し、さらに避難所などで一緒に避難生活を送ること。自分の手元において管理すること。

2013年に環境省は「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を定め、「避難をする際には、飼い主はペットと一緒に避難する同行避難が原則となる」と明言しているから、これから日本全国の地方自治体においても「同行避難」の実施は普通になっていくだろう(そうならないとガイドラインの意味がない)。

けれども、見過ごしがちなのが、行った先で「同伴避難」ができるかどうかである。

昨年に引き続き、今年も大々的に開かれた『渋谷区総合防災訓練 SHIBUYA BOSAI FES 2017』

それでは、自分の住む渋谷区はどうなのかと思い、先日、代々木公園で開かれた『渋谷区総合防災訓練 SHIBUYA BOSAI FES』に取材がてら、区民として行ってみた。そのときチラシをもらい、関係者にもお話しを聞いたのだが、結局は「同行避難はしてもいいけれど、同伴避難はまだ準備が整っていないからNG」だった。つまり、同行避難はしてもかまわないが、体育館や学校、区民会館のような場所に、犬猫を入れる準備はまだ整っていないから入れません、ということ。

避難先で「路頭に迷う」恐れあり

一緒に避難したはよいが、そのあと飼い主と犬猫はどうすればいいのだろう。まだ、うちはキャンプによく行くからマイテントを持っている。大型犬と暮らしているからクルマもある(エコノミー症候群には注意が必要だけど)。でも地下鉄などの公共交通が発達している東京のような都市部で小型犬や猫を飼っている人はクルマがなくても一緒に生活できるし(そして小型犬や猫を飼っている世帯数の方が、大型犬飼育世帯数より圧倒的に数が多い)、普通テントを持ってない家庭の方が多いはず。ということは、同行避難したあと、まさに「路頭に迷う」状態になってしまう気がする。

一生懸命、同行避難したものの、そのあと雨風をしのげる場所に入れてもらえないのが、今の「同伴避難NG」の現状。ちなみに、私もうちの猫と安全に同行避難をするために、今回会場で販売していたリュック(ヨーキーの入っている赤いのと同じタイプ)を購入しました

避難所の指定や管理は、各市区町村の自治体が策定する『地域防災計画』で定めることになっている。なので、同伴避難の可否は各区市町が判断し、避難所における犬猫のためのスペース確保や運営は、各区市町が実施することになる。つまり同伴避難ができるかどうかは国や県の管轄ではなく、地元の自治体の判断ということだ。

それにしても、今時点で同伴避難は、どうやら多くの地方自治体が「不可」または「検討中」「今のところ未定」段階が大半を占める。環境省が同行避難を推奨しているのはてっきり動物福祉の考えが進んできたおかげかと思っていたが、実は動物福祉や動物愛護の精神をまっとうするためではなく、ただ単に野犬を増やしたくないがための、付け焼き刃の方策のように思えてならない。

台風の大雨の中や寒空の下、人間家族も外で寝るしかない、または人間は入れるけれど犬猫は屋外の外につないでくださいなどと言われれば、飼い主と離れて別々にされる方が吠えて迷惑をかけることも心配だから、自宅に犬猫を残してきたり、鎖を外して野に放したり、あるいは自分も避難はせずに動物とともに自宅に残りたい、ということにもなろう。「同行」と「同伴」はやはり両輪が揃ってこそなのではないだろうか。

ペット同行避難シミュレーションのコーナー。いざというときに慌てないように、シミュレーションしておくことが大事

「自宅で一緒に被災」「外出時に一緒に被災」「外出時に別々に被災」と、どういうタイミングで被災するかによって対応が変わるということを学べるペット同行避難シミュレーション。明日は我が身かも、と実感できた

これはペット家族がいる家庭用ではなく、一般的な家庭用の避難リュックに用意しておくもの。犬猫と暮らす人は、これプラス動物のためのグッズを準備しておく必要がある。フードや水はけっこう重たくなるし、犬猫のリードを持ったり、キャリーバッグを持ったりするから、避難グッズはリュックに入れるとよいと思う

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白石かえ

犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパンの広報室。ツキノワグマなど野生動物も好き。犬猫と暮らして30数年。家族(群れ)の悦び、信頼の笑顔、死別・闘病のいたみなど、生き物として大事なことはほとんど犬猫から教わった。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせるような、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

白石かえ

犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパンの広報室。ツキノワグマなど野生動物も好き。犬猫と暮らして30数年。家族(群れ)の悦び、信頼の笑顔、死別・闘病のいたみなど、生き物として大事なことはほとんど犬猫から教わった。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせるような、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

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