2頭目の犬を迎えるのに気をつけるポイント

| 臼井 京音

最近は多頭飼育をされる方も増えています。2頭目を迎えるにあたって、犬種やタイミングや性別など、気をつけるべきポイントは? また、先住犬との相性が悪かった場合はどうすればよいかなど、考えてみたいと思います。

そもそも2頭目を迎える動機は?

2頭飼えば、自宅でも遊べて犬同士は楽しいだろうな」とか、「もう1頭いたら、うちのコはお留守番がさびしくはず」というのが、多頭飼育をはじめるきっかけかもしれません。

もちろん、2頭の相性が良ければ、そしてどちらも遊び好きな性格ならば、2頭目を迎えれば飼い主さんも愛犬たちもハッピーになれるでしょう。

2頭でおもちゃ遊びをする姿を見るのは、飼い主さんとしてもニコニコ度はきっと満点!

けれども留守番時のさびしさに関しては、正直、1頭であっても多頭であってもそれほど関係がないように思います。そもそも、犬は大好きな飼い主さんがいないことが最大のさびしさだから。
筆者宅も多頭飼育ですが、Webカメラで留守中の様子を見ていたところ、筆者がいなくなってほどなくすると、1頭は自分のクレートに入り、もう1頭はキッチンマットに寝転がりました。2頭は別に触れ合いもせず、それから7時間後の飼い主の帰宅までずっと眠り続けていました。
ほかにも、Webカメラをお持ちの多頭飼育の飼い主さん複数に聞いたところ、家族がいるときは2頭で遊んだりするものの、飼い主さんが不在になるとどの犬もテンションが下がって寝床に向かうようです。ちなみに、我が家とは違い、お互いにくっついて寝る犬たちの微笑ましい様子がカメラに映し出されるご家庭も多い模様。

寄り添って眠る姿がかわいい~。

いずれにしても、多頭飼育をするには犬同士の相性が肝心。人間同様、相性が合わない相手との生活はストレスが溜まります。
犬には人間のような恥じらいや道徳心がないので、相手が気に入らないとケンカになりやすいもの。筆者が知る多頭飼育の数組は、とにかく流血のケンカが多いので、別々の部屋で過ごさせ、散歩も一緒には行かないとか……。

そう考えれば、「先住犬のためにもう1頭」という発想は、先住犬にしてみればありがた迷惑かもしれません。飼い主さん自身だって、愛犬の魅力的な遊び相手にもなれるのですから。

愛犬の性格から検討を

2頭目を迎える前に、いくつかのポイントを確認してみましょう。

まず愛犬は、飼い主さんがほかの犬と触れ合ってヤキモチを焼くようなタイプではないか。もし所有欲が高い場合、多頭飼育には向いていない可能性も。2頭目をライバルと感じて、先住犬の生活ストレスが増大する恐れがあるからです。飼い主さんの愛情を独り占めしたいタイプの愛犬ならば、1頭だけをたっぷりかわいがってあげるのが最良の選択肢と言えそうです。
とはいえ、2頭目を迎えて最初の1週間はストレスになって先住犬は下痢をしてしまった(神経性の胃腸炎を発症した)けれど、次第に妹犬や弟犬を受け入れて仲良くなったというケースも筆者は数組知っています。
いずれも、迎えたのは子犬でした。先住犬は去勢済のオスのケースと、未避妊のメスのケースがあります。

「お互い一緒に遊んだり交流したりはしないけどね~、付かず離れず生活してるワン」

迎える2頭目は、様々なものを受け入れる器の広い時期の、子犬が良いとよく言われます。未避妊のメスの場合、子犬と暮らし始めると母性本能が目覚めて、おしっこをしたあとの子犬のお尻や、汚れの溜まりやすい耳や目元などを舐めて世話をするようになることも。親子さながらの光景を目にして、心が温まる飼い主さんも多いことでしょう。

性別は、未去勢のオスが先住犬の場合、迎えるのはオスよりもメスのほうが好相性の確率が高いと言われます。未去勢オス同士は、もっともケンカをしやすいとされるからです。
ただし、メスは平均的に生後7カ月頃に初回の発情期が訪れるので、交配の予定がなければ、メスは早期に避妊手術をしましょう。

犬種による多頭飼育の向き不向き

次に、先住犬の犬種によっては単独飼育が向いていることも。
それぞれの犬種に、人間の仕事のパートナーとして作出された歴史背景があります。
筆者が愛するテリア種は、基本的には群れで行動するよりも単独で害獣を駆除する役割を担っていました。筆者の愛犬のノーリッチ・テリアや、同じ体格で垂れ耳のノーフォーク・テリア、白くて愛らしいジャック・ラッセル・テリアはパック(群れ)で行動すると言われるので多頭飼育向きですが、ある研究によると、もっともパーソナル・スペースの広さを心理的に必要としたのはワイヤー・フォックス・テリアだとされるように、多くのテリア種や、同様に広いパーソナル・スペースを必要とし、「一代一主の犬」と呼ばれる甲斐犬など日本犬も、性質を考えれば多頭飼育はむずかしい傾向にあります。
これらの犬種を多頭飼育するならば、同胎の兄弟姉妹を同時に迎えるのがベターでしょう。

同胎の犬を複数迎えるのも選択肢のひとつ。

逆に、前述の研究でパーソナル・スペースがもっとも狭くて済んだという犬種は、ビーグル。ダックスフンドやビーグルなど群れで仕事をしていた犬種は、多頭飼育へのハードルは低そうです。

いずれにしても、同じ犬種か、近縁の犬種のほうが、性質が似ているので一緒に生活していて犬同士もペースが合うはず。飼い主さんも、なにかと扱いやすいのではないでしょうか?

個体差もありますが、一般的には日本犬はマイペースに独りで過ごすのが好きと言われま

多頭飼育、我が家の日常は

我が家では、ノーリッチ・テリアを母娘で2頭飼っています。
母犬のリンリンが12歳で、娘犬のミィミィが8歳。実は、リンリンが10歳を過ぎたあたりから、以前は母犬に頭が上がらなかったミィミィのほうが、強くなってきました。
今まではフードボウルを並べて仲良く食事をしていたのに、年老いたリンリンの食べるスピードが落ちたせいか、早く食べ終わったミィミィがリンリンのフードをガウガウと威嚇しながら奪いに行くようなったのです。
お互いのストレスが高くならないよう、今は、別々の部屋でゴハンを食べさせています。
また、筆者がうっかり2頭の間におやつを落としてしまったりすると、これまではミィミィがリンリンに譲っていたのに、今はリンリンがミィミィに譲るように。リンリンが老いてから、完全に立場が逆転してしまった

我が家の2頭。なんだかんだ、母犬を追いかけていつも頼っている様子です

先日取材したブリーダーさん宅でも、同じようなことを聞きました。「歳を取った犬は、ほかのみんなからイジメられやすくなるみたい。テレビで見るサルの群れの下克上みたいに、肉体的に衰えたらボス的な存在が替わるようですね」と。
最初は仲が良かった犬同士でも、このような変化が起こることも念頭に置いておきたいものです。

多頭飼育で良かったと思っている点は、日常がにぎやかで明るいこと。母娘なのに性格がけっこう違うので、接していて「らしさ」を感じるところも面白い! もう2頭ともシニアになってしまったので遊ぶ頻度も減りましたが、以前は、長いロープを2頭で引っ張りあったりする光景も見られて、あまりのかわいさに胸がキュンとしたものです。
経済面など大変なこともありますが、筆者自身は、多頭飼育の日々を楽しく過ごしています。

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臼井 京音

ドッグライター・写真家として、15年以上にわたり日本各地や世界の犬事情を取材。『愛犬の友』、『BUHI』、『AERA』などの雑誌や毎日新聞の連載コラム(2009年終了)など、様々な媒体で執筆活動を行う。オーストラリアで犬の問題行動カウンセリングを学んだのち、2007年には、東京都中央区に「犬の幼稚園 Urban Paws」をオープン。園長としても、飼い主さんに役立つ情報の発信に尽力。
自宅暗室で焼いたモノクロ写真は、ドッグリゾートWoof、P2、
DOG&CAT、ドッグサロンDogoldなどのインテリアにも使用されている。
東京都動物愛護推進員、東京都中央区の動物との共生推進員。

主な著書:『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本―上手な育て方としつけ方をアドバイス! 』
編集or執筆担当書籍:『最新版 愛犬の病気百科』、『愛犬をケガや病気から守る本』、『最新版 愛犬の繁殖と育児百科』、『フレンチブルドッグ生活の家計簿』など多数

臼井 京音

ドッグライター・写真家として、15年以上にわたり日本各地や世界の犬事情を取材。『愛犬の友』、『BUHI』、『AERA』などの雑誌や毎日新聞の連載コラム(2009年終了)など、様々な媒体で執筆活動を行う。オーストラリアで犬の問題行動カウンセリングを学んだのち、2007年には、東京都中央区に「犬の幼稚園 Urban Paws」をオープン。園長としても、飼い主さんに役立つ情報の発信に尽力。
自宅暗室で焼いたモノクロ写真は、ドッグリゾートWoof、P2、
DOG&CAT、ドッグサロンDogoldなどのインテリアにも使用されている。
東京都動物愛護推進員、東京都中央区の動物との共生推進員。

主な著書:『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本―上手な育て方としつけ方をアドバイス! 』
編集or執筆担当書籍:『最新版 愛犬の病気百科』、『愛犬をケガや病気から守る本』、『最新版 愛犬の繁殖と育児百科』、『フレンチブルドッグ生活の家計簿』など多数

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