ホテルに預ける? シッターさんに来てもらう? 猫ちゃんお留守番事情

| 田代エミ

出張や旅行など長期の留守のとき、あなたは猫ちゃんをどうしていますか?
ペットホテルに預ける、親戚や友達にお世話を頼む、キャットシッターさんに来てもらう。
いえいえ、留守にするなんてとんでもない、私は旅行に行かない! という飼い主さんもいるかもしれません。
どうすれば猫ちゃんにとってベストなのか、猫ちゃんのお留守番事情を一緒に考えてみましょう!

お留守番、させたくないけど…… 

猫ちゃんにお留守番をさせるのが不安。家に残して大丈夫かしら。
そう思う猫飼い主さんは多いはず。
実際、筆者の知り合いに「家族の誰かひとりが必ず家に居るようにしている」「猫と暮らし始めてから旅行に行っていない」という飼い主さんは何人もいます。

しかし、どうしても断れない出張が入るかもしれないし、旅行にだって行きたい。
そんな、いつやって来るかわからない「お留守番Xデー」に備えて、飼い主さんが普段から心がけておくべきことについて、猫ちゃんのお世話のプロにお話を伺いました。

猫ちゃんも安心。猫専用ホテル

今回お話を伺ったのは薬師寺康子さん。東京・渋谷からほど近いエリアの池尻にある「ねこままホテル」のオーナーで、これまで数多くの猫ちゃんを見てきた方です。

ねこままホテルは猫ちゃん専用のペットホテルの先駆けとして知られており、この10年でお世話した猫ちゃんの総数は1万匹以上、多いときは月に140匹もの猫ちゃんがねこままホテルの“お客様”になるそう。
何を隠そう、筆者の愛猫2匹も子猫のときからずっとお世話になっています。

世田谷、目黒、二子玉川在住の飼い主さんが多い中、猫ちゃんがとても怖がり屋さんなど特別な事情がある方で、遠くは横浜から利用される飼い主さんもいらっしゃるとか。
旅行や出張が理由で4泊5日のお預かりが一番多いそうですが、「家に内装工事が入るので万が一の猫ちゃん飛び出しが心配」「友達が遊びに来るけど猫ちゃんが、来客が苦手」などの理由で、日中だけ猫ちゃんを預ける方もいるそうです。

ねこままホテル内観

ねこままホテル内観

ねこままホテルの猫ちゃんルーム。お部屋のタイプ(大きさ)は3種類。

こんなお客(猫)様にはご用心

猫ちゃん専用ホテルとはいえ、猫ちゃんにとってはおうちとは違う慣れない環境です。興奮してフーフーシャーシャーしたり、暴れたり猫パンチを繰り出す子もいるのでは? そんな猫ちゃんのお世話はさぞ大変だろうと思ったところ、そうでもないそうです。
「緊張して怒ってしまう猫ちゃんもいますが、最近では少なくなりました。シャーシャーするのは怖い気持ちや不安から。そっと見守ってあげます」(薬師寺さん)
同じように、緊張と不安のあまり毛布の下に隠れてしまう猫ちゃんも、無理せずゆっくり、そっと見守るそうです。
「どんな子でもだいたい2日目には落ち着いてくれます」(薬師寺さん)

ホテルに宿泊する“お客様”の中で一番心配なのは、おしっこをしない猫ちゃんだそうです。
腎臓の病気になりやすい猫にとって、おしっこは重大な問題です。日頃から愛猫のおしっこを気にかけている飼い主さんは多いと思いますが、ホテルに預けたことでおしっこをしなくなったとしたら、一大事ですよね。

ねこままホテルでは、おうちで使っているおしっこがついた猫砂を一握り持って来てもらうそうですが、こんな“裏技”も。
「鉱物系の猫砂に変えるとおしっこをしてくれる確率が上がる気がします。あとは、スタッフが砂を掻いて音をさせると、猫ちゃんがその音に触発されるようです」(薬師寺さん)
ザッザッという猫砂の音を聞いて、猫ちゃん、もよおすんですね(笑)
鉱物系の砂が良さそうというのも、たくさんの猫ちゃんをお世話して来た専門店ならではの情報です。トイレで悩んでいる飼い主さんがいらしたら、一度試してみる価値があるかも知れません。

ごはんを食べてくれない猫ちゃんには

おしっこに次いで心配なことは、ごはんを食べないこと。水分も摂らないのでおしっこ問題とも関係があります。

そんなときは、水分の多いウェットフードを鼻先で嗅がせて食欲を刺激したり、スープ系のおやつをあげたりすると、それをきっかけにごはんを食べるようになる場合が多いそうです。
事前に飼い主さんから承諾を得た上とのことですが、猫ちゃんのためにいろいろ試してくれるのは心強いですね。

「猫ちゃんを預けることになったときは、普段使っているトイレ砂、いつも食べているごはん、好物、おうちの匂いや飼い主さんの匂いがついている物、お気に入りのおもちゃ、猫ベッドなどを用意して、できるだけ猫ちゃんがおうちにいるときの匂い・雰囲気・寝心地が再現できるようにしてあげてください」(薬師寺さん)

おうちのベッドをまず入れる

おうちのベッドをまず入れる

おうちでいつも使っていれるベッドがあれば、猫ちゃんも一安心。

環境の変化に慣らすために

昔から「犬は人につき、猫は家につく」といいます。真偽の程はさておき、猫ちゃんは環境の変化に敏感で、家具の配置がちょっとでも変わるだけでストレスがかかるといわれているのは確かです。
そんな猫ちゃんを飼い主の自分がいないホテルに預けるなんて……という不安を払拭するにはどうしたらいいでしょうか?

「飼い主さんの不安な気持ちは私もよくわかります。
そういうときは、いきなり長期のお預けをするのではなく、事前に1泊だけとか日中だけとか体験してもらうといいと思います。猫ちゃんは匂いの記憶力がいいので、一度行ったところの匂いは覚えているものなんですよ」(薬師寺さん)

そしてそれは、できれば若いうちがいいそうです。
「猫ちゃんは若ければ若いほど環境の変化に慣れやすいですから、いずれ預ける機会があると思ったら、早めに1泊でも2泊でも預けてみるというのはいいと思います。10歳を過ぎて初めておうちの外に出た、というより子猫のうちに経験させておいたほうが早く慣れてくれます」(薬師寺さん)

「ペット同行避難」とも関係が?

事前のホテル体験。これは、旅行や出張などで預けることが決まっていない場合でも、猫ちゃんにとって大切なことではないでしょうか。いつなんどき急に預けなくてはならない事態がやって来るかわからないからです。

旅行などだけでなく、近年続く災害で話題になった「ペット同行避難」とも関係してくるかもしれません。
ペット可の避難所で、猫ちゃんがケージや他人に慣れていないため過度のストレスで病気になったり暴れたりしないように、いろんな環境に早めに慣らしておきましょう、というテーマは猫雑誌などでもよく特集されます。

確かに、ホテルに慣れている猫ちゃんなら、一歩も家から出たことがない猫ちゃんよりもいろんな匂いや人に慣れているといえるでしょう。
筆者も万が一に備えて、うちの猫たちをいろんな環境に積極的に連れて行ったほうがいいのかな、と思ったことがあります。でも、それがストレスになってしまったら本末転倒だし……。

そこで薬師寺さんの意見を伺ってみました。
すると、納得の回答が。

猫ちゃんはしっかり者!

「あくまで私個人の考えですが、いろんな環境に猫ちゃんをあえて慣れさせなくてもいいんじゃないかな、と思っています。
一般的に猫ちゃんは適応力がないといわれていますけど、そんなことないと思います。
ワンちゃんを飼っている知り合いの方の話なんですけど、最初は猫ってホテルに全然慣れないだろうと思っていたそうです。でも実際にお泊まりの猫ちゃんの様子を見ていると、ワンちゃんに比べて猫ちゃんは案外適応力がある、と。
ワンちゃんはホテルで下痢してしまったり、いつまでも飼い主さんを待って『キューンキューン』言っているけど、猫ちゃんのほうは3日もすれば『私はここで生きていくのよ』みたいにどっしり構えた様子になるんです(笑)」(薬師寺さん)

確かに、健気に飼い主を待ち続けるワンちゃんに比べると、猫ちゃんのほうがマイペースであっさりしている気がするのは、猫飼い主なら何となく想像できます(笑)

「万が一に備えて環境の変化に慣れさせておくこと自体はいいことだと思いますが、無理にやらなくても、そのときが来たら猫ちゃんは大丈夫ですよ。
猫ちゃんはしっかりしています。肝が据わっているというか、その環境でちゃんと生き抜いて行く気がします」(薬師寺さん)

ホッとした筆者が「うちの猫たちも大丈夫でしょうか?」とお聞きしたところ、
「あの子たちは大丈夫ですよ。人懐っこいし、皆から可愛がられて『あら、ここいいかも』と思ったりするんじゃないでしょうか(笑)」(薬師寺さん)
むむ、なんだか複雑な気分(笑)
やはり猫ちゃんは飼い主が思っているより自由で、飼い主の先を行っているのでしょうか。

いずれにしても、猫ちゃんの適応力については飼い主が神経質になる必要はなさそうです。

ねこままホテルお世話の様子

ねこままホテルお世話の様子

ねこままホテルのスタッフと仲良くお遊びタイム。猫ちゃんの適応力を侮ってはいけません。

ホテルとシッター、そのメリット・デメリット

長期お留守番のもうひとつの選択肢がキャット(ペット)シッターさんに自宅に来てもらい、猫ちゃんのお世話をしてもらうことです。

ホテルとシッターさん、どちらがいいのか迷ったことはありませんか?
これについて薬師寺さんからのアドバイスは、猫ちゃんの年齢に応じて使い分けたほうがいい、というものでした。

■若い猫ちゃんはホテルがオススメ

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田代エミ

元々犬派だったがあるきかっけに猫の魅力にはまり、現在はアメショ姉妹(10歳、9歳)を溺愛中。周りのベテラン猫飼い主さんに比べれば知識も経験もまだまだ未熟と、日々勉強中。「よその猫さんに優しくすることが、やがてうちの子に還ってくる」をモットーに、動物愛護関連の支援活動も行っている。

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